活動紹介
タイ/ミャンマー国境難民・移民への医療支援
メータオ・クリニック支援の会では、医療従事者を現地へ派遣し、メータオ・クリニックでの病棟勤務を通じて専門分野を活かした技術支援や、院内感染予防対策を中心とした施設・設備の改善をおこなっています。更に、タイ・ターク県の70校ほどの移民学校にて、クリニックと共同で学校保健プロジェクトを実施するなど、難民・移民の保健・医療に対する支援を行っています。
また、毎年スタディーツアーを開催するなど、現地訪問者の受け入れを行っています。日本国内でも、月に一度の会報配信、総会や現地スタッフの報告会・勉強会、イベントの開催、グローバルフェスタへの出展など、ミャンマーでの支援を求める難民・移民をより多くの方々に知って頂けるよう、広報活動にも力を入れています。
写真:渋谷敦志
1. 医療人材派遣と技術支援
医師、看護師などの医療従事者をメータオ・クリニックへ派遣しています。派遣員の任期は1~2年間、これまでに7名の医療従事者を派遣してきました。クリニックスタッフとともに働く中で、課題を見つけ、それぞれの得意分野を生かしながら様々な活動に取り組んでいます。
2. 院内感染対策と啓発活動
メータオ・クリニックを受診する患者さんは、一般的に栄養状態が理想的とは言えず、感染症をうつされやすい状態の方が多くいます。かつ、クリニックには、マラリア、HIV/AIDS、インフルエンザ、結核等、感染性疾患を持つ患者さんも多くいます。そのため、患者間、さらにはクリニックで働くスタッフへの院内感染のリスクが高く、その軽減のため、2005 年に院内感染予防チーム(Infection Control Team : ICT)が結成されました。
派遣スタッフはICTにアドバイザーとして参加し、現地メンバーと共に、院内ラウンドチェックと必要な設備の補充、院内感染ワークショップの開催、ポスター設置での患者さんも含めた院内感染予防の啓蒙活動などを行っています。
通年 : 結核用患者マスクの提供 (日本国際協力システム他)
2008年度: 手洗い場増設を含んだ内科病棟改修
2009年度: クリニック内で使用するガーゼやコットン、様々な医療器械の滅菌と管理を行う、IPU(Infection Prevention Unit)の立ち上げ、滅菌器の提供
2010年度: 感染症隔離病棟の設営(大阪コミュニティー財団:ストリートチルドレン等救済基金)
2011年度: 手洗い場の整備、及び手洗い推進キャンペーン(みつばち倶楽部)
2012年度: 二次感染予防のためのご遺体安置所の整備とご遺体保管庫の提供(Azbilみつばち倶楽部)
2013年度: 手指衛生ガイドラインの作成、手指衛生のタイミンングを示した手指衛生啓蒙ポスター(WHO 5 moment for hand hygiene)、アルコールボトルの増設 (日本国際協力システム)、院内で使用している塩素消毒薬の効果確保を目的とした塩素濃度測定器の提供、指導 (azbilみつばち倶楽部)
2017年度: 滅菌器の修理、立て替えたIPUの既滅菌室へ空調(エアコン)設備の提供
3. 移民学校での保健活動
タイ・ターク県には、ビルマ/ミャンマー移民の子どものための学校が70校ほどあります。
派遣スタッフはメータオ・クリニック学校保健チームのメンバーとしても活動しています。学校保健チームとともに移民学校にて、半年毎のビタミンA投与、害虫駆除剤の投与、眼科検診、健康教育を行っています。更に、学校の先生のために、手洗いや歯磨き等の衛生の啓蒙活動、害虫駆除、ビタミンA投与の必要性、児童の急変時の看護、処置等のトレーニングが行われています。
メータオ・クリニックは従前から学校保健支援を行っていましたが、体系的な評価や支援は行われておりませんでした。そこで、2008年メータオ・クリニック支援の会は、クリニックと共同で学校保健プロジェクトを開始しました。毎年、全移民学校にて学校保健評価を実施、優秀校の表彰式を通じて学校保健改善の動機づけを行うとともに、国際NGOや現地コミュニティー組織と学校保健改善の評価を共有しています。これらは支援の参考となり、各移民学校の衛生状況を把握、安定したサービスを提供するための支援団体へのアプローチとしても活用されています。必要な設備を整えるきっかけともなっています。
また、寄宿舎にて生活する思春期の学生を対象としたメンタルヘルス活動として、サッカーや音楽授業などの課外活動の充実にも取り組んでいます。2013年度より開催しているタイ学校と移民学校の合同演奏会は、精神的ケアの一環としてだけでなく、移民学校のタイ社会への融合という点において、大きな架け橋となっています。、その他、移民学校全生徒を対象とした栄養調査をおこなったり、劣悪な環境である移民学校の校舎を建て替えるなどの活動も行っています。
2009年度: Hope Learning Center改修工事及び、机寄附
2011年度: Hope Learning Center新校舎建設(敷島製パン労働組合)
2012年度: サッカーや音楽授業などの課外活動の導入(今井海外協力基金)、Hope Learning Centerトイレ、手洗い場の増改築(敷島製パン労働組合)
2013年度: New Road Migrant Learning Center トイレ建設(敷島製パン労働組合)、タイ学校・移民学校合同演奏会の実施(今井海外協力基金)
4. 医療物資・設備投資
毎年、皆様からご支援頂いた、古着・玩具・文房具・医療器械(手術用鋏、鉗子類)は、スタディーツアーやJAMメンバー現地視察時に運びメータオ・クリニックへ直接支援しています。その他にも、寄附や賛助会員費を積み立てより、現地のニーズにあった物資・設備支援をおこなっています。
これまでにご支援いただいた物資
2009年: 車椅子(日本社会福祉弘済会の事業「空飛ぶ車椅子」)
2011年: 聴診器、酸素流量計等医療器具(みつばち倶楽部)
2012年: 手拭き用タオル(azbilみつばち倶楽部)、リコーダーとトランペット
2013年: 酸素担架(azbilみつばち倶楽部)、子ども服、食器洗い用スポンジ
2014年: 移民学童のための通学カバン
5. 緊急支援活動
周囲の様々な変化を受けて、緊急的な困難を抱えることも多いメータオ・クリニック。その時々の支援要請を日本で発信、日本からの緊急支援をメータオ・クリニックへ届けています。
2010年度
総選挙後に起きた反政府軍と国軍との戦闘によってタイ側へと多数流入した避難民への緊急援助 1,151,421円
2011年度
避難児童のための緊急援助 46,000円
2012年度
メータオ・クリニック資金難への緊急援助 528,790円
2013年度
メータオ・クリニックパートナー団体ビルマ子ども医療基金(Burma Children Medical Fund)への緊急支援275,000円
移民学生寄宿舎火災に対しての緊急支援 100,000円
6. 日本国内活動
日本国内では、総会、現地スタッフ活動報告会、イベント開催や出展、セミナー・講演などを開催しております。
過去の活動報告及び資料は以下の通りです。
また、講演のご要望及び資料提供、メディア掲載に関しては、(リンク)お問い合わせよりご連絡をお願いいたします。
活動報告及び会計報告
毎春開催のJAM総会時にこれまでに報告しました活動報告及び会計報告です。
イベント活動
2018/10/14 日タイカルチャーフェアin京都にてパンフレットを配布しました
2018/6/30-7/1 ミャンマー祭り2018に出展しました
2017/9/30-10/1 「グローバルフェスタJAPAN2017」に出展しました
2015/10/3-10/4 「グローバルフェスタJAPAN2015」に出展しました
2014/10/15 「グローバルフェスタJAPAN2014」に出展しました
2013/10/15 「グローバルフェスタJAPAN2013」に出展しました
2012/11/17 医師シンシア・マウン講演会(日本財団)を開催しました
2012/10/15 「グローバルフェスタJAPAN2012」に出展しました
2012/05/15 マウンマウンティン氏 展覧会及び座談会を開催しました
2011/10/15 「グローバルフェスタJAPAN2011」に出展しました
2011/02/23 ⇒ビルマ/ミャンマー緊急難民救済募金終了のお知らせ
2010/10/15 「グローバルフェスタJAPAN2010」に出展しました
2010/07/15 『タイ・ビルマ 国境の難民診療所―女医シンシア・マウンの物語』(新泉社、1800円)に編集協力しました
セミナー・講演活動
2018/12 埼玉看護大学での講義
2014/12/25 琉球大学保健学科、看護学概論「看護師として海外で働くChallengeからSkillへ」
2014/2/11 タイ、パヤップ大学看護学部、特別講義「Nursing working experiences in the International field」
2013/06/22 第4回ナーシング・キャリアカフェ(沖縄県)「看護職による国際協力活動の実際とその後の進路」
2013/06/21 名桜大学、国際看護学Ⅰ、看護学概論「看護職のグローバルキャリア」
2013/03/21 日本国際保健医療学会・学生部会主催 国際保健トレーニング合宿「シンポジウム~国際保健への携わり方~」「キャリアラウンドテーブル~未来への道筋~」
2013/02/01 大阪城南ロータリークラブ・クラブフォーラム「タイ・ミャンマー国境、ミャンマー難民診療所の現実と世界各国からの支援」
2012/09/16 敷島製パン労働組合定期大会 報告会「国境の難民診療所と移民学校のよりより環境のために」
2011/02/21 大阪北梅田ロータリークラブ卓話「タイ・ミャンマー国境 難民診療所「メータオ・クリニック」」
2010/12/26 NPO法人ヒューマンライツ・ナウ「総選挙後・スーチー氏解放後のビルマの状況~現地取材ジャーナリストと医師が語る」
2010/11/16 名桜大学 国際看護・公開授業「タイ・ミャンマー国境「メータオ・クリニック」での難民医療支援」
2010/08/21 一般公開勉強会「JAMは現場で本当に役に立っているのか」
2010/02/06 一般公開勉強会「ミャンマー/ビルマ難民移民無料診療所、メータオ・クリニックの今」
2009/12/18 京都橘大学 前現地スタッフ梶看護師による国際看護学の講演開催
2009/10/31 学びフォーラム(京都) 横川 裕美子先生(京都橘大学看護学部)が、模擬授業を担当
2009/10/12 京都橘大学オープンキャンパスで横川 裕美子先生がJAMの活動も紹介
2009/06/06 沖縄県立看護大学 第11回看大祭 アジア保健医療研究会講和会「卒後2年目、国際協力との関わり」
2008/10/25 第49回日本熱帯医学会大会・第23回日本国際保健医療学会学術集会 合同大会「慢性緊急状態の移民・難民の保健支援について考える」
メディア掲載等
2018/1/23 YAHOO!JAPAN 日本人看護師から見えるメータオ・クリニック
2018/1/23 YAHOO!JAPAN 国境の難民診療所「メータオ・クリニック」
2013/7/28 NHK大阪放送局「かんさい人物ファイル アジアに夢中」~国境の“優しい”看護師 タイ 田畑彩生さん~
2012/12/11 読売新聞大阪版 「「民主化」後も見守り続けて タイでミャンマー難民診療 シンシアさん」
2012/11/25 NHKワールド ASIA7DAYS(特集コーナーIn Depth内) -Refugee Clinic
2012/11/29 朝日新聞「ひと -難民診療所への支援を求めて来日したカレン族の医師、シンシア・マウンさん」
2012/11/22 読売新聞(福井)「ミャンマーの難民50万人無料診療「命救うとは」高校生に伝える」
2012/11/22 県民福井「貧困、難民問題知って タイの診療所女性医師武生高校で講演」
2012/11/22 NHK BS1 ワールドWaveトゥナイト -シンシア院長来日と「メータオ・クリニック」について特集で放送
2012/11/22 福井新聞「伝えることも難民支援 マグサイサイ賞ミャンマー人医師 厳しい現状語る」
2012/11/22 毎日新聞「「アジアその目で見て」ミャンマー難民支援・マウンさん」
2012/11/22 読売新聞「ミャンマー難民50万人無料診察医師 越前市で講演」
2012/11/18 世界日報「”もう一人のスー・チー氏”講演 難民医療の窮状訴え」
2012/11/17 NHKニュース「ミャンマー医師 医療水準向上訴え -シンシア院長の講演会について放送」
2012/10/30 世界日報「タイ北部で活動20年、国境の「難民医院」が資金難に -ミャンマー改革で支援減少http://www.worldtimes.co.jp/today/kokunai/121030-5.html」
2012/10/29 時事通信社「国境の「難民医院」資金難に=ミャンマー改革で支援減少-タイ北部で活動20年」
2012/02/01 体験派医療人マガジンLattice2012「医療という『絆』」Lattice各種団体紹介
2011年
2011/02/01 体験派医療人マガジンLattice2011「いざ医療の現場へ」タイ・メータオクリニック取材レポート「国境を越えて医は「生きる希望」になる」
2010/05/01 月刊大法輪「翻弄される人々」
2010/01/12 BAILA「社会をよくするために、最前線で働く30代女子 田辺文さん」
2010/01/09 サンデー毎日「国境の病院にて―タイ・メーソット メータオ・クリニック支援の会 田辺文さん」
2009/07/25 西日本新聞「命を救う土台 つくる医療人に 長崎大熱研でスキルアップ 難民支援に生きる看護師 梶藍子さん」
2009/06/07 沖縄タイムス「国際支援に関心を 卒業生の前川さん講演」
2009/03/13 読売朝刊「タイの中のミャンマー メソトを訪ねて 難民の街 病気と貧困<上>」
2009/02/19 共同「ミャンマー難民支援し20年 タイ国境の無料診療所」
2009/01/20 毎日朝刊「タイでミャンマー難民を支援する看護師 梶藍子さん」
2008/10/29 日本テレビ NEWS ZERO,「病院求め決死の出国~医療さえ受けられぬミャンマーの現実」